本当にAppleが傍若無人なだけ?梨のロゴ商標侵害裁判についての誤解を解説

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by しんや

先日、AppleはSuper Healthy Kids, Incに対して、ロゴの商標登録の差し止めを求める裁判を起こしています。

以下が2社のロゴですが、AppleはSuper Healthy KidsがAppleのロゴマークを侵害していると主張しています。

これについて、ネット上では大きな反響がありました。フルーツという点以外ではその2社のロゴはほとんど見間違うことがないと多くの人が感じたからです。

また、ネットニュースなどでもAppleの「傲慢さ」や「傍若無人ぶり」と強調しながら報じているところが多くあります。しかし、この裁判を本当にAppleの傲慢なのでしょうか?

Appleが提出している異議申し立ての書類を読めば「傲慢」と片づけられるほど単純でないことが分かってきます。

この裁判の争点やAppleの主張を解説していくことでいくつかの誤解を解消していきましょう。

Appleの主張している侵害行為の内容

では、まずAppleの主張を整理してみましょう。以下がAppleの出している申立書の全文です。

Apple’s Notice of Opposition v. Super Healthy Kids, Inc.

300ページを超える内容ですが、おおよそ最初の40ページほど読めば概要は理解できます。

何十ページにもわたり長々と書いていますが、基本的な主張は一つです。

「Appleのロゴはあまりも有名、だから似たようなデザインを使われると顧客が混乱する。そして、この梨のロゴは誤解を招く」です。

ランハム法にのっとり異議申し立て

そして、Appleが同社のロゴの商標が侵害されていると主張するために同社が持ち出しているのがLanham Act(ランハム法)と呼ばれるものです。

ランハムほうは商標の保護に関して記されている法ですが、その中でもAppleはこの梨のロゴが「同社のロゴと似ているため誤解や混乱を招き」そして、「Appleのロゴの価値を貶めることになる」と主張しています。

Applicant’s Mark is likely to cause confusion, mistake, or deception under Section 2(d) of the Lanham Act, 15 U.S.C
Applicant’s Mark is likely to cause dilution under Section 43(c)(1) of the Lanham Act, 15 U.S.C.

誤解1:2社のロゴが全く似ていなくて誤解されることなどない

さて、それでは一つ目の「2社のロゴがほとんど似ていない」という誤解を解説します。

下の写真を見れば多くの人が「全く似ていないだろ!」と考えるのも理解できます。

しかし、これは「商標を侵害している」という裁判です。ならば当然その商標とAppleの商標を比較しなければフェアとはいえないでしょう。

以下がその商標に関連した2社のロゴを比較した写真です。

随分と印象が近づいてきたのではありませんか?

では、もう少し角度を変えてみましょう。人々がロゴを少し斜めから見るというのは全く不思議な話ではありませんからね。

葉っぱの感じや果実の感じがだいぶ近づいてきましたね。

そして、Super Healthy Kids, Incがこのロゴを商標として登録できれば、当然ながら色を変えても大きな問題にならないでしょう。

そのため、例えば、果実の白抜きになっている部分を頭の中で黒塗りにでもしてみてください。

そうなればランハム法で侵害の条件として認められている「同社のロゴと似ているため誤解や混乱を招く」という主張も説得力が増します。

ちなみに、Appleは2つのロゴの類似性を以下のように説明しています。

Applicant’s Mark consists of a minimalistic fruit design with a right-angled leaf, which readily calls to mind Apple’s famous Apple Logo and creates a similar commercial impression

つまり、「簡素なフルーツ」に「右向きに傾く葉っぱ」は人々に対してかなりAppleと似たような印象を与える、という主張です。

もちろん、Appleについて詳しい人たちならこれでも見間違うことは少ないでしょう。

しかし、Appleについて名前を聞いたことがあるが、それほど詳しくない人にとってはどうでしょうか。

Appleの知名度は世界一?

では仮に、間違える人がほとんどいなかれば、例えば1%もいないのならば問題にはならないのでしょうか。残念ながらそうとは言えません。

ここで問題になってくるのがAppleの知名度です。Appleの申立書には、くどいほど同社のロゴがいかに有名かを説明しています。

数ページではなく数十ページに渡って、Appleのロゴの知名度が極めて高いことを主張し証明しているのです。

仮に、もしも2社のロゴを混同する人がわずか0.1%だったとし、1億人がAppleのロゴを知っているとしましょう。

その場合、1万人への影響があります。有名であればあるほど、わずかな割合に対してしか誤解がなかったとしても影響受ける人の数は当然ながら増加するのです。

そして、1億人というのはiPhoneの販売台数から考えてもかなり低い見積もりです。

つまり、Appleのように知名度が高ければ高いほど、このような誤解を招く可能性がある問題について敏感に対処することは、同社のブランドを守るためにも決して些細な問題ではないのです。

やはり、Appleも知名度の大きさを重要な要素として考えていることは、同社が何度もしつこく同社のロゴの価値を説明していることから理解できます。

そして、Super Healthy Kidsの事業が全くAppleと関係のない事業であれば当然、誤解した人々に対して「Appleのロゴの価値を貶めること」につながるでしょう。

誤解2:金にものを言わせた弱いものいじめ

そして、どうやらこれを「資金力と強力な法務チームを持つAppleによる弱い物いじめだ」というイメージを持つ人もいるようです。

しかし、侵害行為を立証するためには原告側(Apple)が、このロゴをSuper Healthy Kids, Incが使うことで、顧客等が関連性や承認関係について「混同する可能性」があることを立証しなければなりません。

例え強力な法務チームがあったところで、ドラマの世界とは違い、法にのっとっていないものや存在しない関連性を裁判官に認めさせることは一般的に不可能です。

そもそも、意味もない訴訟を乱発すればAppleのブランドイメージが下がるだけなのは明白です。

それにも関わらず、Appleの「同社のロゴと似ているため誤解や混乱を招き」そして、「Appleのロゴの価値を貶めることになる」という主張を素直に受け止めず「傍若無人」という言葉で片付けるのは、あまりにも片方の主張に偏った意見だと言わざるをえません。

会社の規模に関わらず、顧客を混乱から遠ざけることやロゴの価値を守ろうとすることは当然の行為です。

まとめ

今回は、Appleが起こした商標侵害の裁判に関する解説をしました。

Super Healthy Kidsの主張だけをピックアップした一方的な解釈による誤解だけではなく、Appleの立場や主張も聞くとまた違った視点が得られるかもしれませんね。

この記事はAppleの主張を中心に解説していたため、Super Healthy Kids側の主張に興味がある方はこちらの記事も是非チェックしてみてください

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 au民は見ない方がいいかも。最終的に全然違うよ。

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