可決されたらマジでヤバイ!アメリカで暗号化通信を弱体化する法案が提出される

AppleとFBIなどの捜査機関が暗号化を巡って論争になっているのはアメリカでは日常と化しているのですが、どうやらAppleやiPhoneユーザーにとってかなり雲行きの怪しい動きをアメリカ政府が見せています。
iPhoneのような高度な暗号を使用した通信デバイスが犯罪を助長しているといった意見があるのですが、これを弱体化する法案がアメリカ共和党より提出されニュースになっています。
大多数の声が反対している
アメリカ共和党のリンジー・オーリン・グラハム上院議員、トム・コットン上院議員、マーシャ・ブラックバーン上院議員は昨日未明、iPhoneなどの「Warrant Proof(技術的に解読困難)」の暗号化を弱体化する法案を提出しました。
この法案はiPhoneのような強固な暗号通信ができるデバイスが、ユーザーのプライバシーを守る一方で法執行機関(FBIとか)の努力を阻害し、犯罪者が犯罪を企てるのを助けているという考えから作成され、一部の組織にだけ暗号化を解除できるバックドアを要求しているようです。
実はグラハム上院議員は昨年末に同案件で公聴会を開いており、この場でiPhoneを「犯罪者の避難所」呼ばわりし、同席していたテキサス大学でサイバーセキュリティに関する研究をしているマット・テイト教授から強い反発を受けています。
その公聴会でグラハム上院議員は「Appleは法執行機関のアクセスを許可するためにデバイスを再設計するべきだ」「Appleらはそれができるはずだ」と断言し、まるで意図的にAppleが犯罪者の手助けをしているようなニュアンスを出していました。
そして最後に「解決策を見つけられないなら我々の案(バックドア)に従うべきだ」と締め括り、今年の年末に同様の公聴会を開いてAppleに何かしらの対応を求めるつもりだったようですが、今回はそれを大きく前倒ししてきた形になります。
この法案はあくまでアメリカの法案ではあるのですが、iPhoneはアメリカの製品なので法案が可決された場合、我々が日本で手にするiPhoneにも同法案が適用された端末になるので、バックドアが設けられたiPhoneとなってしまいます。
この法案やバックドアを設ける事については専門家らが猛反対しているのですが、この3人の上院議員らはセキュリティ強度が下がる=サイバー犯罪が増えるといった意識もないようで、意地でも国の法律レベルでバックドアを設けるつもりのようです。
このニュースにはすでに多くの反対意見がネット上に溢れているのですが、そもそもアメリカ政府が昨年エンドツーエンド暗号化技術を禁止すると言う処置を支持しているので、この法案が可決される可能性は低くはないと考えられています。
まとめ
正直言って単純にバックドアを作る=犯罪が未然に防げる&減るとはとても思えないのですが、彼らにとってはiPhone=犯罪者の避難所でしかないので、何がなんでもこの法案を通すつもりなんでしょうね。
この法案がもし通ると、iPhoneはセキュリティが施されていないスマホ並みにハッキングなどがし易いデバイスになってしまいますから、他のブランドのスマホも含めて常にセキュリティリスクを背負って使用するデバイス、になってしまうかも知れません。