iPhoneはロボットで組み立てできない?様々なトラブルから断念していた事が判明

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by メカ村

年間2億台近いiPhoneを販売しているApple、そのほとんどは中国の深圳市の工場で人の手によって組み立てられているのですが、どうやらAppleは2012年頃からロボットを利用した組み立てを計画していた事が判明しました。

実際に分解についてはロボットを利用して行っているとプレスリリースにて公開しており、当然組み立ての方でも研究はされていると予想されていたのですが、どうやら様々なトラブルが発生し採用は断念していたようです。

人の方が効率が良い事も

iPhoneの組み立てのほとんどは中国の深圳市にあるFoxconnなどのサプライヤー工場で行われており、非常に多くの人の手で丁寧に組み上げられているのですが、その労働環境については度々問題としてニュースにもなりました。

というのも、長時間労働に加え他国では考えられないほどの薄給、寮完備とは言われているもののその実態はお世辞にも清潔とは言えないタコ部屋で、あまりの汚さに感染症などを懸念する声も上がるほどでした。

Appleもこの現状を良しとはしておらず、サプライヤーに環境改善などを呼びかけていたのですがあまり改善の傾向が見られず、2012年頃からこうした問題やコスト削減、製造スピード向上のためなどにロボットによる組み立てを計画していたそうです。

完全にロボット生産になれば、劣悪な労働環境に従事する人々を開放する事ができますし、労働時間に縛られない長時間の量産やヒューマンエラーによる初期不良品を減らせる可能性もありました。

しかしiPhoneのロボットによる組み立て製造はほかの電子機器よりもかなり難度が高かったようで、主に「ネジ」と「接着剤」の2つの要因によって採用を見送られる事となります。

iPhoneに使用されるネジは非常に小さく、一般的な電子機器よりも正確な位置と角度調整、そしてねじ穴が潰れたり貫通しないようにトルク制御などもしなくてはならないのですが、これがほとんどロボットで実現できない精度である事が明らかになりました。

また接着剤に関しては、コンマ数ミリというかなり狭い範囲での塗布や使用量の調整などが必要になり、ロボットでは接着剤を人のように臨機応変に調整したりする事ができず、結果的に人の手で塗布した方が確実で早いと言う結果になったそうです。

実際に現場を見る事ができないので我々にはどれほど精細な作業かはわかりませんが、かならず同じ動きができるロボットよりも人の手の方が確実で早く作れると言う事は、「AIが人間の仕事をすべて奪う」時代にはまだまだ遠い事がわかりました。

まとめ

以前iPhone 6を分解してみた事があるのですが、信じられないほどねじ穴が小さく細短いネジがかなりの本数あり、それこそトルクドライバーのような仕組みだとネジやねじ穴を破損しかねないと今になって思えます。

ちなみにAppleは2014年にMacbookをロボットで組み立てようとしたそうなのですが、88本もの精密ネジを使う関係でロボットが誤作動する事が多く、コンベア移動による微妙な位置ズレなどの関係で難航し、結果的に人の手で組み立てる方が早くて正確だと判断したのですが、そのせいでこのMacbookは4ヶ月も発売が遅れてしまいました。

参考:MacRumors

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