トランプ大統領とザッカーバーグCEOの発言でFacebook社内でストライキ発生
Twitterが利用規約に従いトランプ大統領のTweetに警告表示を付けたニュースは世界中で波紋を呼び、トランプ大統領はTwitterの行いを言論統制と批判し、規制または閉鎖するとかなり強気な発言をしたのは記憶に新しいですね。
この件についてFacebookのザッカーバーグCEOはTwitterを批判し、さらに大統領が署名したSNSを規制する大統領令についても批判するポジションをとったのですが、この行動にFacebook社内から抗議の声が上がりストライキが発生したようです。
意見のない中立宣言
この件のざっくりとした経緯は下記の通りです。
- 大統領がTwitterで郵便投票批判
- Twitterが上記ツイートに警告表示
- 大統領が警告表示を言論統制と批判
- 大統領がSNSを規制令に署名
- Facebookが両方を非難
Twitterが大統領の発言に根拠が無いと警告表示を出し、大統領がコレを言論統制と判断しSNS全体を規制しようとし、Facebookが「ウチは関係ない」と言わんばかりに中立の立ち位置を示した形です。
しかしザッカーバーグCEOはTwitterの警告表示と大統領の規制令署名を批判しているものの、具体的にFacebookとしての意見を述べておらず、両者を批判した上で「ウチの利用規約はTwitterより優れています」と締めくくっており、特に意見を言ったワケではありません。
この問題は、フェイクニュースなどをSNSも「規制しなくてはならない」派と「規制してはならない」派が対立している状態で、この両方を批判するザッカーバーグCEOの発言は沸きらないダブルスタンダード状態であり、Facebook社内から批判の声とストライキが発生する事態に。
….happen again. Just like we can’t let large scale Mail-In Ballots take root in our Country. It would be a free for all on cheating, forgery and the theft of Ballots. Whoever cheated the most would win. Likewise, Social Media. Clean up your act, NOW!!!!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) May 27, 2020
通常、アメリカでは憲法修正第1条(表現の自由など)などに違反しない限りすべての発言は削除されるべきではないのですが、SNSの発達によりフェイクニュースやヘイトスピーチなどが顕著かつ広まりやすくなった背景から、通信品位法第230条でSNS側の削除や規制などを保護しています。
大統領はこの通信品位法第230条の解釈と施行を変更しようとしており、ざっくり言えばSNS側がユーザーを差別したりアクセス制限をしたり利用規約違反した場合、通信品位法第230条の保護を無効化するつもりのようです。
仮に通信品位法第230条の保護を無効化されれば、例えばユーザーがフェイクニュースやヘイトスピーチなどを投稿した場合、投稿されたSNSには掲載した責任を問われるようになる上、それを削除などする事自体ができないためSNSとして機能しなくなり無秩序状態となります。
SNSの今後が大きく変わりそうなこの状況下で、自社のCEOがダブルスタンダードでどちらの意見も推奨しない中立宣言なワケですから、社員に呆れられストライキをされても仕方がない状況なのでしょうね。
まとめ
そもそもTwitter側は利用規約に従い警告表示しただけなワケで、大統領のツイートを削除したりしたワケではないので言論統制ではないですし、これを受けてSNS全体の法解釈を変えようとするのは異常事態とも言えるでしょうね。
ザッカーバーグCEOがどういうつもりで両者を批判する意見を出したのかはわかりませんが、従業員が漏らした声を拾うなら「11月の大統領選が近づくにつれ、我々は信じられないほど苦労する”ゆがみ”を見つけ、”ゆがみ”をどうするかという判断に今までにないリスクを背負う事になる」ようです。