ITでもコロナ便乗商法、ハッキングツール会社が政府にコロナ防止策として売り込み
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス、ウイルスの実害以外でも各国で様々な問題などが発生しており、その1つにコロナ蔓延に便乗した詐欺や高額転売などがありますね。
マスクや消毒液などの高額転売ももちろんですが、実際にウイルスに何の効果もない製品をまるでコロナウイルスの予防製品として売り出したりといった事案が数多くあるのですが、まさかのIT業界でもコロナ便乗商法を利用している組織があるようです。
AppleとGoogleのアレをハッキングで
コロナウイルスの感染拡大を受けAppleとGoogleが協力し、コロナ感染者から濃厚接触者などを割り出す『Contact Tracing』を発表してオーストラリアがさっそくアプリにしたと昨日お伝えしましたが、各国の政府によからぬ話を持ち込んでいるIT企業があるようです。
iPhoneやAndroidなどのモバイルデバイスのハッキングツールを販売するイスラエルのCellebrite社が最近、各国に自社のハッキングツールをコロナウイルス感染拡大防止策として売り込んでいる事が明らかになりました。
Cellebrite社といえばFBIなどがiPhoneをハッキングするために導入した事で有名で、Appleが令状のないiPhoneのロック解除を断った際に同社のハッキングツールでロックを不正解除し、「プロハッカーから買った技術で解除した」と表明したのは有名な話です。
インド警察にCellebrite社が送ったメールには、「感染者の電話の位置データと連絡先をハッキングする事で隔離すべき人間を割り出せる」と説明しており、政府機関が主導となって秘密裏に国民のスマホをハッキングし、『Contact Tracing』と同じ事+αをさせようとしているワケです。
通常、何らかの犯罪に関連して押収したスマホを捜査機関がハッキング解除するのは法的に問題ないかグレーゾーンなのですが、ユーザーに知られる事なく国が主導となってハッキングツールを使用するのは重大な犯罪行為であり、国家として許される行為ではないでしょう。
しかし少なくともCellebrite社と他のハッキングツール会社7社が各国にこうした仕組みを売り込んでおり、彼らの言葉を信じるならヨーロッパ・アジア・ラテンアメリカの12カ国にすでに提供しているとの事。
AppleとGoogleが無償で提供し安全が担保されている『Contact Tracing』を導入せず、怪しく高額で国民を裏切るような行為を12カ国も採用している事には驚きを隠せませんし、そうした国家が個人情報を収集できない『Contact Tracing』を採用しないのは悪い意味で筋が通ってると言えるでしょう。
日本政府がこのような馬鹿げた提案に乗ることはないと思っていますが、採用した12カ国にアジアの国が含まれていると聞くと、正直楽観してはいられないですね。
まとめ
そもそもこんな怪しい企業がハッキングツールを売りつけるだけで引き下がるとは考えにくく、例えば政府が使用して得た個人情報を不正に入手する仕組みを組み込む事も可能でしょうし、その政府がハッキングツールを導入した事実をつかって国家を脅迫する事もできるかも知れません。
一部の国家はAppleとGoogleが作った『Contact Tracing』を断固拒否しているそうですが、もしかしたらその国家はすでにハッキング企業からツールを買っている企業なのかも知れません。