iPhone XRにはAppleが隠した欠陥がある?カリフォルニアで集団訴訟へ

いまやAppleと訴訟の組み合わせは珍しいニュースでもなくなってきており、特許などの権利に関するものから製品の欠陥や不具合など実に様々なものが取り上げられています。
今回もそんな訴訟のニュースなのですが、どうやらiPhone XRにAppleが隠蔽している欠陥があり、6つの法に抵触しているとして15人のiPhone XRユーザーに集団訴訟されたそうです。
言いがかりレベルの訴訟
先日北カリフォルニアの裁判所に対し、「AppleがiPhone XRについて6つの法に抵触している」という訴状が提出されました。
6つの方とは下記の通りです。
- マグナソン・モス保証法の明示的保証違反
- マグナソン・モス保証法の暗黙の保証違反
- カリフォルニア州消費者法の救済法違反
- カリフォルニア州不当競争法の違反
- カリフォルニア州法に基づく隠蔽による詐欺
- 商品性の黙示的保証の違反
これらを集約して原告の訴えを要約すると、「AppleはiPhone XRについて他の同時発売のiPhoneや他社スマホより通信機能が劣る事を隠し、機能を誇張表示し販売、さらにiPhone XRには欠陥がありそれを明示せず、修理保証も不適切で保証する気がない」といった感じです。
ではAppleは、本当にiPhone XRについて上記の訴えの通りの事を行っていたのでしょうか?
筆者がWayback MachineのWebアーカイブやAppleのiPhone仕様ページ、各種検証サイトなどの検証結果を調べてみたところ、どうも原告側の調べ足らずと言いがかりである事がわかってきました。
iPhone XRはiPhone XS/XS Maxとともに発売されましたが、通信に関するハードウェアでMIMOと呼ばれるスマートアンテナを2×2というグレードでWi-Fiアンテナのみに採用していますが、iPhone XS/XS Maxは4×4というグレードのものをキャリアアンテナとWi-Fiアンテナの両方に搭載しています。
これによりiPhone XS/XS MaxはiPhone XRよりキャリア通信速度が理論上4倍になり、Wi-Fi通信速度が2倍になるのですが、どうやらこれを「欠陥」と定義しているようで、実はiPhoneの仕様ページに上記の通り掲載されています。
また過去のiPhone XR紹介ページも確認しましたが、iPhone XRの通信が早いといった表記は見当たらず、各検証サイトの結果を見る限り1世代前のiPhone Xと同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮しており、「欠陥」というのが適切ではない事がわかります。
また修理についての原告の訴えは「原因を改修していない新品を送り返してきて修理と称するのは不適切」というものですが、そもそも「欠陥」ではないものを送られてきて欠陥の抱えていない新品を提供しているワケですから、Appleの対応はむしろユーザー寄りで適切と言えるでしょう。
15人の集団訴訟ですがこれ以上人数が増える気配もなく、訴状を読む限り本当に言いがかりレベルの事しか書かれていないので、Appleが勝訴するのは時間の問題かも知れません。
まとめ
ちなみに原告は「世界中の同様の立場の人間すべてに代わってAppleを訴え金銭的補償などを求める」としており、文章をそのまま鵜呑みにするなら「iPhone XR販売台数分の金銭的補償要求」をしているようにも見え、賠償金ありきの訴訟に見えなくもないですね。
また「iPhone XRのアンテナを適切なものに変更し補償するべき」とも要求しており、iPhone XRの通信アンテナを両方とも4×4 MIMOに換装したiPhone XRを要求しているようで、「最初からiPhone XS買えよ」という声が聞こえてきそうです。