Appleが「エッジAI」に取り組むスタートアップを200億円で買収 、iPhoneでは何ができるようになるの?

AppleはエッジAIに取り組むスタートアップXnor.aiを2億ドル(約220億円)で買収しました。
Xnor.aiを買収したことによって、同社が開発した機械学習ツールが将来的にiPhoneやiPadにネイティブに対応し、クラウドではなくデバイス上で機械学習に必要なプロセスが処理されることを示唆しています。
Appleは将来的に「エッジAI」の技術をiPhoneへ
Xnor.aiはシアトルに拠点を置くスタートアップ企業で、3年前からモバイルデバイスで働くエッジAIの開発に取り組んでいます。
彼らは、太陽光発電やコインサイズのバッテリーで何年も実行できるスタンドアロンのAIチップを開発したことで注目を浴びていました。
また、同社の技術はスマートフォンだけでなく、例えばIoTデバイスやカメラ、ドローンなどにも搭載されており、フォーブスアメリカで「最も有望なAI企業ランキング」で44位にランクインしたこともあります。
Appleも注目している「エッジAI」とは?
「エッジAI」と今一般的に普及している「クラウドAI」の1番の違いは、学習モデルから予測までの処理をどの程度まで端末側で行うかクラウド側で行うかの違いです。エッジAIの方はその名の通り、多くの処理を端末側が負担します。
当然、端末(エッジ)側で負担できる処理が増えれば、オフライン環境でも人工知能の恩恵を広く受けることができるようになります。
それでは、iPhoneやiPadにエッジAIが導入されればどのようなメリットがあるのでしょうか?
iPhone/iPadにとってエッジAIの価値は?
エッジAIをiPhoneやiPadに組み込むことができれば様々なメリットがあります。
その中でも最も大きいのは「リアルタイム性」の向上です。
例えば、カメラを使った物体の認識プログラムでも必要な処理が端末内で完結するためより素早く柔軟なものに仕上げることができます。
さらに、そのプログラムをAR認識の技術に応用し、ARやVRのゲームがよりリアルに感じられるようになるかもしれません。
もう一つの大きなメリットは「データの秘匿性」が上がることです。
人工知能の多くの分野では、大量のデータを要求します。例えば画像認識のAIプログラムの精度を上げるためにはたくさんの写真を集める必要があります。
通常は、その画像を学習プログラムがある企業のサーバに送る必要があるのですが、プライバシーが高い画像ではこれが困難になります。そのような問題をエッジAIは解決してくれます。
特にiPhoneは私たちにとってとても身近なものなので、このようなエッジAIの特徴はプライバシーの面で大きな価値を持ちます。
もちろん、AppleがXnor.aiから得た技術をどのように活かすかはそのiPhoneが発売されるまで分かりませんが、以上の二つのメリットは重要視されるでしょう。