Appleが香港のiPhoneから台湾の国旗の絵文字を削除、中国からの圧力か?

Appleは最新のiOS/iPad OSを搭載した香港のiPhoneから台湾国旗の絵文字を削除したことが明らかになりました。
これはiOS 13.1.1以降のOSを搭載したユーザーが対象です。
香港のiPhone、iOS13.1.1以降で台湾の国旗が削除
これまでは、例えば英語で「Taiwan」と入力すると予測候補に出てくる絵文字から台湾の国旗を選択することができました。
しかし、9月末に公開されたiOS13.1.1以降では、香港と中国の端末で台湾国旗の利用が制限されています。
つまり、ユーザーが利用しているiPhoneが中国モデルもしくは香港モデルの場合、この制限を回避する解決策がないことを意味しています。
より正確に言うと、iOS13.1.1以降を搭載したiPhone XS / XR以降のすべての香港モデルでは台湾国旗の絵文字が使えなくなりました。
さらに、その他の地域のデバイスでも「地域設定」を中国や香港、マカオにすると同様の制限がかかるようです。
中国は台湾を独立国として認めておらず、Appleもこれまで台湾国旗の絵文字については慎重に扱ってきました。
実際、中国国内において台湾国旗を非表示にするアップデートは一年以上前のiOS11.4.1からすでに導入されています。
これは中国政府の「台湾は中国に属する」という考え方を貫くためAppleに対して再三圧力をかけた結果と言われています。
台湾国旗の削除は香港デモに対する中国政府の焦り
中国での制限から一年以上も経って突然、香港やマカオにまで制限を行なった理由が最近の香港デモと関係しているのは明白です。
香港デモの過激化に伴い、香港市内では中国政府に対する反発が高まっています。
このような、反中国政府が蔓延しはじめている社会で、台湾の存在は同政府にとってかなり不都合なものでしょう。
今回の絵文字削除は、そのような細部まで規制を行わなければならないほど香港のデモが活発化しており、それに対する中国政府の焦りが出てきた結果ではないでしょうか。
香港警察を監視するアプリもストアから削除
一方、香港警察の居場所を示すアプリもAppleアプリストアから削除されています。
Appleは、警察の居場所を人々に教えれば違法行為の増加に繋がるため、同アプリが犯罪行為の促進を行なっているとしてストアから削除したと回答しました。
“Your app contains content – or facilitates, enables, and encourages an activity – that is not legal … Specifically, the app allowed users to evade law enforcement.”@Apple assume our user are lawbreakers and therefore evading law enforcement, which is clearly not the case.
— HKmap.live 全港抗爭即時地圖 (@hkmaplive) October 1, 2019
このアプリは香港内でのデモを支援するために開発されていますが、当然Appleの言い分にも一理あります。
全てのユーザーが正しく道具を使えるとは限らず悪用する人も必ず存在するため、App Storeの規約に則った判断と言えます。
しかし、タイミングがタイミングだけに、アプリの開発者もこの削除はもっと政治的な判断であると主張しています。
時間とともに泥沼化する香港デモですが、絵文字やアプリの削除など、様々な分野にも徐々に影響を及ぼしはじめているようですね。