iPhoneにウイルス対策アプリは必要?結局どうなの?

最近ちょこちょこ目にするようになってきたiOS系のウイルス被害、日本国内での被害報告はほとんど目にする事がないのですが、ネットにほぼ国境がない以上他人事ではありませんね。
ネットで「iPhone ウイルス」なんて検索するとPCで有名なソフトのサイトが多数ヒットするのですが、果たしてiPhoneなどのiOSデバイスにウイルス対策アプリは必要なのでしょうか?
結論:ウイルス対策ソフトはいらない
今までにiOSで確認されている「ウイルス被害」と呼べるものは世界でも下記の4件です。
- PCと接続した時に感染(中国)
- 特定サイトにアクセスして感染
- App Storeのアプリで感染(中国)
- App Store以外のアプリで感染
それぞれどのようなウイルスだったのか、簡単に見てみましょう。
PCと接続した時に感染する「WireLurker」はPCと接続した際にiPhoneに感染するウイルスで、MacとWindowsにトロイの木馬として存在しているウイルスが同期時にiPhoneに感染するものです。
スマホの情報を抜き取るなどの効果があるものの被害はほぼ中国国内に止まりまっており、2014年時点でAppleにより対策されています。
特定サイトにアクセスした際に強制脱獄させられる脆弱性「Trident」は、サイトにアクセスしただけでiPhoneの脆弱性を突いて勝手に端末を脱獄させた上でマルウェアをインストールするというとんでもないものでしたが、こちらも2016年時点でAppleが対策を実施済み。
中国のApp Storeで発見された「XcodeGhost」はAppleの審査を通過した不正アプリによるウイルスで、開発者らのMacに感染した後に制作されていたアプリに不正なコードを忍び込ませ、開発者らは知らずにウイルスをばら撒いていた事になりましたが、2015年にAppleに対策されています。
App Storeを介さないサードパーティストアでダウンロードしたアプリに紛れていた「YiSpecter」は、Appleの審査なくアプリをユーザに提供できる事を良い事に脆弱性を突いた不正プログラムが組み込まれ、iPhoneに致命的な挙動を許可させるかなり危険なものでしたが、その性質上いまだにAppleによる対策はなされていません。
上記の事例を見てわかる通り、現状のiPhoneを通常利用する限りはほとんどウイルスなどの被害を受ける可能性はほぼほぼなく、またAppleの審査の都合上PCのウイルス対策ソフトのようなものはApp Storeでリリースできないため、iPhoneについて市販のウイルス対策アプリは基本的に意味のないものとなっています。
App Storeで販売されているウイルス対策アプリは大概、不正なメールやWebサイトに警告を出す程度に止まっており、例えば何らかのウイルスに感染しているiPhoneを直したり、これらを未然に防ぐことは不可能なためインストールする旨味はありません。
ユーザー側でできる対策としては、
- なるべくVPNで通信を行う
- App Store以外からアプリをダウンロードしない
- 怪しいメールを開いたりリンクを踏んだりしない
- 2段階認証などを取り入れる
- パスワードマネージャーを使う
- 公共のWi-Fiを使わない
- ソフトウェアアップデートは常に最新に
- iPhoneを同期するPCにウイルス対策ソフトを導入する
が現状できるウイルス対策といえるでしょう。
まとめ
iOSの性質上App Storeのウイルス対策アプリは実質的にウイルス対策をできるているとは言い難く、ウイルス対策アプリを入れて下手に気を抜くよりは入れずに普段から気をつけながら使用する方が安全なのではないかと思います。
ウイルスに感染したPCや不正なアプリくらいしか感染経路が無いので、iPhoneを安全に使い続けたい場合はPCのウイルス対策を怠らず、怪しいものには触れないするのが最良の対策なのではないでしょうか。
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