そこまで万能じゃないよ…墜落事故パイロットがiPadで1時間訓練しただけと判明

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by メカ村

学習や仕事分野でも活躍しているiPad、学校レベルで教育に取り入れたりプロのデザイナーさんがiPadで仕事していたりと度々ニュースになりますよね。

そんなiPadはアメリカの航空会社でも活用されていたそうなんですが、過信しすぎたのか墜落事故を引き起こす要因になってしまっていたようなんです。

とあるシステムの記載なし

昨年の10月29日と今年の3月10日に、ボーイング 737 MAX 8型という小型ジェット旅客機で墜落事故が発生しました。

10月29日のライオン・エア610便墜落事故では乗員8名と乗客181名の計189名が、3月10日のエチオピア航空302便墜落事故では乗員8名と乗客149名の157名が全員死亡するという大変痛ましい事故となっています。

いずれも空港に納入されて数ヶ月の新造機であり、両旅客機の機長はそれぞれ空港の発表で6〜8,000時間もの飛行経験のあるベテランであったとされ、ボーイング 737 MAX 8型そのものに問題があったのでは?というのが一般的な見解でした。

両事件を受けてアメリカ連邦航空局・中国民用航空局・欧州航空安全局がボーイング 737 MAX 8型の運行停止を命じている程で、現在当該旅客機は世界中のどこも航空していない状態になっています。

しかし今日になって、機長らは数千時間の飛行経験がありボーイング 737 MAX 8型飛行資格はあるものの、そもそもシミュレーターなどで訓練せずiPadでたった1時間しか訓練していなかった事が明らかになりました。

実はそもそもボーイング 737 MAX 8型のシュミレーターは空港側に提供されておらず、コレより前の世代の旅客機の飛行経験がある程度あればシミュレーターは必要ないとボーイング社とアメリカ連邦航空局が判断し、パイロットらはiPadでマニュアルを見るだけだったそうです。

確かに同じ会社の旅客機で仕様変更のない新型なら特別な訓練なく操縦できそうなものですが、なんとボーイング 737 MAX 8型にはiPadのマニュアルに記載のない新しい操縦特性向上システムMCASが搭載されている事が判明。

パイロットらは新しいシステムについてボーイング社や空港側からなんら知らされる事なく操縦する事となり、特定の状況で水平尾翼を自動で調整が行われる事を知らなかったワケです。

MCASの自動調整のせいでパイロットが意図した通りに飛行機が操縦できず、最終的に2つの墜落事故が発生したのではないか?というのが現在一番有力な墜落原因となりました。

確かにiPadは便利なデバイスではあるのですが、空を飛び多くの人の命を預かる仕事のマニュアルとしてはいささか荷が重かったようです。

まとめ

今回の件は特にiPadが悪いといったニュースではないのですが、空港でも信頼され利用されているものの、管理する側の認識が圧倒的に軽いという事実が浮き彫りになる事となりました。

これで事件解決とはいきませんが、全てのボーイング 737 MAX 8型を運行停止するような事態になっているだけに、他の旅客機の事も考えてシミュレーターやiPadでのマニュアルについては徹底して欲しいですね…。

参考:QUARTZ

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