個人情報を守りすぎても弊害が?EU新法案で優良サイトが閉鎖する事態に

その取り扱われ方で度々問題となる個人情報、個人や企業はもちろん、国家でもその扱い方でニュースになる事がありますね。
極力守られるに越した事はないのですが、あまりに守り過ぎると良心的サービスが死んでしまう例が出てきました。
物の貸し借りサービス
EUでは5月25日より「EU一般データ保護規則」という条例が施行され、収集した個人情報の取り扱いが非常に厳しく制限するとともに、違反者にはかなり厳しい処罰が用意されています。
この条例は2年前に制定され有効になるのが待たれている状態だったのですが、有効化を目前に「条例に抵触しない確証がない」とサービスを停止するサイトが現れました。
With sadness, Streetlend is no more.
— StreetLend.com (@streetlend) 2018年4月30日
Despite our ethical operation, the ambiguity of the EU’s new #GDPR regulation puts us at risk from vexatious litigants, and sadly we cannot take this risk.
More info: https://t.co/eh769e0ZFt
閉鎖した「Streetlend」は、近隣の住人で物の貸し借りを行うサービスで無料で利用登録可能、利用料も貸し出しユーザの設定に依存しほとんど収益は上げていなかったそうです。
運営者のクリス・ビーチ氏はこれをあくまでサイドプロジェクトとして運営しており、本業での収入を頼りにほぼ趣味で運営しているような状態だった模様。
しかし近日中に有効になるこの条例はビーチ氏が述べる通り「違反基準が曖昧」で、このサービスが違反しているかどうかもわからないリスクを背負った状態で存続させる事ができず、閉鎖を決定したそうです。
ちなみに違反時の罰金ですが、1,000万ユーロ(約13億円)〜2,000万ユーロ(約26億円)または前期売り上げ総額の2〜4%のどちらか高い方であり、大概の企業は1,000〜2,000万ユーロを支払う事になります。
「違反基準が曖昧」なのに巨額の罰金が用意されたこの法案への批判は以前からかなりの声があったそうですが、施行前に閉鎖するサービスが出るあたりEUの個人情報取り扱いはかなり厳しいものになりそうですね。
これはEUのユーザが絡む場合国外の企業にも適用されるので、最近良い話を聞かないFacebookとかは速攻でこの条例の餌食になるような気がします。
まとめ
良心的でユーザに寄り添ったサービスが、条例の圧力で閉鎖を選択させられる様は、EUという事もありなんとなく「圧政」を彷彿とさせますね。
これからも様々なサービスに影響を及ぼすんでしょうが、特にSNSなんかはEUユーザのみ制限を設けるような展開になりそうです。