3キャリアが発表した進化版SMS『+メッセージ』、比較して分かるLINEの強さ

3キャリアが先日、SMSの進化版となる『+メッセージ』を発表しましたが、実際にリリースされたら使うようなものになるのか、比較してみました。
SMSの進化版であるものの、現状の連絡手段の代替になるかは疑問
キャリア3社が集まって異例の共同発表を行ったことから力の入れようが分かる、新たなサービス『+メッセージ』。
先日の発表時には大きく話題になり「打倒LINEか?」なんて言われていましたが、結局メインで使うほどになり得るのか、何ができて何ができないのか他のサービスと比較してみました。
まず最初にチェックしてきたいのは、現状のSMSと違い。今回の発表では、あくまでSMSよりこれだけ機能拡張があったよとアピールしていた点でもあります。
ここに関しては比べるまでもなく、データ通信のみで使えるようになったこと、送信可能な文字数・コンテンツの拡充も含め言うとおりSMS進化版といえますよね。
しかしながら今や様々なメッセージサービスがあるのは事実で、果たしてそれらと比べて置き換えるほどになるのかが利用者側からすると気になるところであります。
というのもチャットアプリの『LINE』は、総務省の「平成29年版 情報通信白書」によると、全世代での利用率は67%。

(出典)総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
さらに世代別に見れば20代は96.3%、30代でも90.3%と、かなりの割合で日常的に使われている状況なんですよね。
それだけにいくら「LINE対抗のものではない」と言っても、どうしても比べられるのは避けられません。
それ以外にもiPhone同士の場合はiMessageもありますし、じゃあ「+メッセージ」の優位な点はどこにあるんだろう?と表にまとめてみたものがこちら。
違いになる部分を赤太文字にしているのですが、「+メッセージ」はユーザーID・パスワードが不要で電話番号だけでOKというのが売りな訳ですが、逆に考えると電話番号がないと相手とやり取りできないというのが欠点でもあります。
つまり日常で電話番号をやり取りする間柄でのやり取りには向いているものの、メッセージはともかく電話番号を知られたくない相手とは使えないという見方も。
続いてそれ以外の細かい項目を比較してみたのが、こちらの表。
違いになる部分を赤文字にしてあるんですが、やはり気になるのは「今後MVNOの希望があれば対応する」といいつつも現在格安SIMには非対応な点。
格安SIMの利用率が10-12%くらいではあるものの、電話番号さえ分かれば誰にでも送れるという訳ではないのは利用にあたっては躊躇しちゃいますよね。
そして個人的に結構大きなポイントだと思うのが、LINEは無料で音声・ビデオ通話ができる点。
特に若い方だと「電話 = LINE通話」くらいの勢いもあって、もはや当たり前に使われていると思われまして、ここだけはキャリアが出す『+メッセージ』では絶対にできない点です。
さてここまで見てきてなんだかもう、わざわざ『+メッセージ』を使い始める理由が見当たらないところであるんですが、それぞれの良いところ悪いところを整理してみるとこんな感じに。
『+メッセージ』
良い点
- 登録不要で電話番号だけでOK
残念な点
- 相手に電話番号を伝えないといけない
- 格安SIM(MVNO)に非対応
- どれだけの人がアプリを使うのか未知数
『LINE』
良い点
- LINE IDさえあればやり取りが可能
- 無料で音声通話・ビデオ通話が可能
- 利用率が高いのでだいたいみんな使ってる
- パソコン・タブレットからも利用可能
残念な点
- 今使ってる人は特になし?
うーんこうやってみても、日常のやり取りが『+メッセージ』に置き換わるっていうことは難しいそうですね。
仮に『+メッセージ』が実際出てみたらすごい使いやすいサービスだったとしても、2つを使い分けるのが面倒くさくて、全部1つで済む『LINE』を選んじゃうってことになるのかなと。
そう考えると『+メッセージ』はあくまで今までのSMSの利用が置き換わるだけで、「少しできることが増えた無料で使えるSMS」で終わっちゃうような気もします。
そういう意味ではこういう日常的な利用を目指すアプリ(サービス)って、結局のところ一番大事なのは「どれだけ多くの人が使っているか」って点に尽きるんだなあと改めて実感しました。
望んでいないかもしれませんが、結局のところ打倒『LINE』で利用率を目指さないと拡大は望めない『+メッセージ』、今後どう攻めてくるのか注目です。