ウーバー車両が自動運転の試験走行中に死亡事故 自動運転の責任は誰に?

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by ともぞう

ここ最近テレビCMでも国産車で同一車線の運転支援機能などを売りにした車を見かけるようになりましたが、Uberが実施していた自動運転の試験走行中に死亡事故が起こってしまいました。

Uberが自動運転の試験走行中に歩行者を巻き込む事故

日本では広まることなく撤退というニュースが先日入ってきたばかりの配車サービス Uber(ウーバー)ですが、海外での悲しい事故のニュースが入ってきました。

事故が起きたのはアメリカ時間の18日。自動運転機能で試験走行していたUber(ウーバー)車両が車道を渡っていた歩行者をはねてしまい、病院に搬送されましたが死亡してしまったとのこと。

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自動運転で走行していた車は運転手が不在というものではなく、運転席には監督者が搭乗していたそうなのですが、日本経済新聞の記事よれば、

米紙サンフランシスコ・クロニクルによれば、地元警察は歩行者が急に飛び出し、人間でも避けるのが難しい事故だったとみているという。
引用元:日本経済新聞


とのことで、仮に自動運転で走行していなかったとしても、起きていた可能性がある事故だったとみられています。

とはいえ、このような事故が起きてしまうと気になるのは自動運転における責任の所在。

仮に自動運転のシステムに問題があって事故が起きてしまった場合にも責任はドライバーにあるのか、それともシステムを作ったメーカー側になるのか、現状を調べてみました。

自動運転の区分と事故責任

一言に自動運転といってもまず最初に理解しておかなければいけないのが、自動運転の区分。

なんて偉そうに書いていますが、本記事を書くにあたって必死に調べましたよ…。

まずご覧頂きたいのがこちらの表。「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017」に掲載されておりました。

現在運転は5段階に分類されており、レベル1から5に分かれています。さらにいうと自動運転といいつつもあくまでレベル2までは「運転支援」であり、「部分運転自動化」ということになるんですね。

テレビCMでやっている同一車線での走行などがここにあたり、日本国内で発売されている車が搭載しているのはレベル1か2という訳です。

そしてレベル3以降がいわゆる私たちがイメージする自動運転。今回の事故を起こしたUberの自動運転の車は、搭乗者も乗っており「状況においては利用者の対応を求められる」レベル3だったと思われます。

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※ニュースにてこの事故を受けて試験走行を中止したという記載もあったことから、レベル3ではないかと推測しています。

レベル4以降になると「利用者が応答することを期待されない」と定義されており、ここまで来るとハンドルもペダルもない完全無人自動運転ということでしょう。

ということで、自動運転がどのように定義されたか分かったところで、次に知りたいのは仮に事故を起こしてしまった場合の責任についてですよね。

これに関しては「誰(何)が運転の主体を持っていたか」になるのですが、もう一度先程の表をみてみましょう。

注目は右側の「安全運転に係る監視、対応主体」の項目で、レベル2までは「運転者」とされており、つまりレベル2までは運転手が主体であり、事故の責任も運転手にあるということになります。

問題は今回の事故もそうだったと思われるレベル3以降の自動運転中の事故になる訳ですが…明確な責任区分に関する言及を見つけられませんでした。

おそらくこうだろう…という見解はだいたい同じで、レベル3の自動運転とはいえ運転手はいつでも対応できるようにしておかなければならないことから、自己責任は運転手に発生するという考えでした。

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今回の事故は自動運転でなくても避けるのは困難だったという話ですが、レベル3においては「何か不慮の事態が遭遇した場合には利用者は手動運転に切り替え回避する責任がある」ということでしょう。

さらにレベル4になると「利用者の応答は期待できない」とされており、そもそも搭乗者が運転には関与できないので、こうなると事故責任はシステム側(メーカー側)ということになると思われます。

ちなみに国内ではすでに自動車保険においても自動運転に関する特約が追加されており、例えば「損保ジャパン日本興亜」を見てみると、

ご契約の自動車の欠陥・不正アクセス等により人身事故または物損事故が発生した場合で、 運転者等の被保険者に法律上の損害賠償責任がなかったことが確定したときに、被害者に生じた損害について被保険者が負担した費用をお支払いする特約を新設します。
引用元:損保ジャパン日本興亜


という内容で特約が新設されていましたよ。

この辺りの保険の対応に関してはまだまだ自動運転がこれからということもあり、今後さらに対応した保険も出てくることとなるんでしょうね。

まとめ

レベル3以降の自動運転は実現されれば非常に便利なのは間違いありませんが、今回の事故のように一個間違えれば人の命に関わる事故にも繋がり兼ねないことだけに難しい問題ではあります。

かといって、危険な部分があるからダメという問題でもないところもあり、今後このような事故が起きないようどのように試験を進めていくべきか新たな議論を生みそうです。

ライターのひとこと

目的地を設定したら寝ている間に到着…なんて思い描いていた未来が来るのはまだまだ先のようです。

参考記事:日本経済新聞

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